書評:『ユダヤ人大富豪の教え』(後編)

読んで感動できるなら、まだまだ若い、まだまだいける

ユダヤ人大富豪の教え(本田健著)

大富豪“ゲラー氏“と若者“ケン“の物語もいよいよ後半です。第11から第17の秘訣、そしてエピローグに進んでいきます。

若者が陥りやすい間違いについて、大富豪は若者にわかりやすく説いてくれます。しかし、これは年々歳をとっていく、僕ら世代にとっての戒めのように聞こえます。

・「成功を目指す多くの若者は、すべてのことを自分で成し遂げようとする。けれどもそれは大きな間違いだ。というのも、成功とは多くのひとに支えられて初めて実現できる状態のことだからだ」

・「もし自分でできたとしても、できるだけ多くの人を巻き込んで助けてもらうことだ。そしてその人たちに感謝して喜んでもらうことが君の成功のスピードを速めるのだよ」

次の箇所は、若者にとってはかなり先のことかもしれませんが、僕ら世代にとっては、今まさに現実の課題や教訓になっています。第10の秘訣で『目標』を“アラジンの魔法のランプ”に例えていますが、目標は手段に過ぎないと言い切っているようです。

・「人はどういう時に幸せを感じると思う?」、「目標を達成できた時でしょうか」、「それは一時的なものにすぎない」、「人は、誰かと人間的なつながりを感じたときに、初めて幸せを味わうのだよ」

・「世界には60億人からの人がいる。そのうちの一人を選んだのだ。相手がいるだけでも、奇跡的なこと。その奇跡を日常的にお互いに確認しあえるかどうかが、パートナーシップの成功の鍵を握るだろう」

凡人には、目標を立てることだけでもハードルの高さを感じてしまいます。幸せを感じるために「目標を立てる」とは驚嘆してしまいます。簡単に目標を立てたりしますが、「その目標は何のため?」とちょっと意識してみる必要はあると感じました。

僕はいわゆる“自己肯定感”は強い方だと思っていますが、「セルフイメージ」に関する次の箇所は、ますます意識を高めていこうと思います。

・「セルフイメージが高ければ高いほど、幸せ、成功、富を引き寄せることができる」、(別のビジネス上の例えの後)「たとえば恋愛でも、自分は女性に愛される価値のある素晴らしい男性だ、というセルフイメージさえもてば、あっという間に素晴らしい女性に巡り合うことができる」、「セルフイメージに人生が合うようにできているからだ」

・「僕も小さいころからいろんな人を見てきましたけれど、豊かな人は、裕福ないい雰囲気がありました。経済的にうまくいっていない人からは、たしかに貧乏光線が出ていました」

そして大富豪は“失敗”についても、名言(僕にとっての)で言い切っています。僕だけでなく、ある程度の人生を生きてきた人には、もう説明は要らないですね。

・「行動力は、失敗に直面できる勇気だともいえる」

・「実際の人生では、間違ったり、失敗しなければ何も学べない」

さぁ、「幸せな小金持ち」へ!

いよいよ物語は終わりを迎えます。次は“夢”について。

・「幸せに成功するためには、夢を見ることが必要だ。夢には人を行動に駆り立てる力がある。最初のうちは個人的な夢でまったくかまわない」

・「君ならすべて実現できるだろう。大切なのは、夢見ることを忘れないことだ。残念なことに、ほとんどの人間は夢を見ることを忘れてしまっている」

僕64歳は、男性の平均寿命を80歳とすれば、あと16年…みたいなことを考えることがあります。僕の場合、だからこそ“若い今が常にピークだ!” その意味で“今やらないと、この先やる可能性はゼロに近い”、若者より時間的に余裕がないという意識です。

若者が見る夢と比べると、現実的なものになることはしかたありませんが、それさえも考えていない60代以降にはしたくないですね。

そして、最終章(第17の秘訣)では、悟りの境地へと導いてくれます。

・「この人生で起こることはすべて中立であって、良いことも悪いこともないのだよ」

・「ツキの良い人間とは『自分はツキが良い』と信じていて、『ツキが良くなりたい』とは考えていない。この微妙な差が“ツキの良い人間“と“ツキの良くない人間“を実現してしまう」

・「幸せに成功している人は、暗闇もしっかりと統合した上で、バランスのとれた人生を実現しているのだ」

・「人は、それぞれベストな人生を送っていると信頼してあげることだよ。それぞれの人にとって、ベストなタイミングというのがあるものだ」

これらの箇所は、仏教の『無』に通じる考えで、モノはすべて中立である。それを使う人間が善か悪かを決めてしまうという僕の好きなところと同じことを言っています。またバランスとタイミングは僕の趣味「四柱推命」の基本です。少しうれしくなってきました。

エピローグではさらに壮大な世界観へと誘ってくれますが、それは若者に対する教えであり、僕64歳の現在の自分の器、今後の可能性を考えると「ちょっと遅い、無理!」と率直に感じました。

ただ幸せな金持ちになるために、本書『ユダヤ人大富豪の教え』に心動かされた箇所が、この歳になってもたくさんありました。

ただ、それらは今すぐに実行や意識をかえるための努力が必要で、頭だけでなく繰り返しカラダや口を動かすことによって、自分のものになるような気がしてきます。逆に何も行動に移さずに過ごせば元に戻ってしまいそうです。

るんるんリタイアめんとは、本書のテーマ「幸せな金持ち」と言い換えることができますが、『幸せな』の部分の大切さをあらためて考えさせられました。

「以前、読んだよ!」という方にも、ぜひ“読み直し”をお勧めします。

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